それは姉の嫌いなエレキの曲だった。いったいどうしたというのだろうか・・・喧しい曲なのである。すると姉は「この歌いいやろ」と私に尋ねるのであった。その曲こそビートルズの『抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)』だった。B面は『This Boy』。
珍しい曲を聴いていると思ったら、翌日は別の曲を聴いていた。それは『She Loves You』で、さらに一週間ほど後、今度は2枚のシングル盤レコードを借りてきて聴いていた。曲は何れもビートルズで、『From Me To You』『I Saw Her Standig There』『Money』『Please Mr. Postman』etc・・・・・。そして、その頃から明けても暮れてもビートルズ、ビートルズ・・・・。私は毎日、毎日、ビートルズを聴かされるので、いやが上にも曲を覚えてしまったのである。
こんな調子で私はビートルズと係わり合いを持つことになるのであるが、当初、そんなに好きではなかった。でも聴いている間に、ビートルズはどんどんと変化していくのである。最初の頃は、単なるアイドルグループの域でしかなかったのに、翌年には『Yesterday』『In My Life』等の名曲が世に出るし、1966年に来日すると、突然、コンサート活動はやらないと言い出した。
最初の曲『マザー』の冒頭が衝撃的だった。鐘が鳴り、いきなりジョン・レノンがシャウトする。 Mother,you had me but I never had you I wanted you but you didn't want me so I got tell you Goodbye Goodbye お母さん 僕はあなたのものではなかった 僕はあなたが欲しかったのに あなたは僕を欲しがらなかった だから僕はお別れを言わないといけない さようなら さようなら
I don't believe in Bible I don't believe in Hitler I don't believe in Jesus I don't beileve in Kennedy I don't believe in Buddha I don't believe in Elvis I don't believe in Zimmerman I don't believe in Beatles I just beileve in Me Yoko and Me 私は聖書を信じない ヒトラーを信じない キリストを信じない ケネディを信じない 釈迦を信じない プレスリーを信じない ボブ・ディランを信じない ビートルズを信じない 信じるのはヨーコと自分だけだ
この当時、こういった曲を聴いて、2度とビートルズの再結成は有り得ないと思ったものである。ビートルズは4人組ではあるが、実際にはジョン・レノンとポール・マッカートニーの2人の才能が結束した2人組といっても不思議ではない。それほど、あの2人の才能はずば抜けていた。結局は、ジョンとポールの確執が噂され、噂が現実となって解散してしまった。だから若い人が好きな『Let it be』なんていう曲は、私は嫌いなのである。なんか風前の灯火のように聴こえてしまうから好きになれないのだ。